2017年10月17日(火)に開催された、第9回みらいママ講座は無事終了いたしました。
今回のテーマは「ふれ愛が育くむ生き抜く力」
日本で始めて『カンガルー・ケア』に注目し、親子のふれあい、絆づくりに積極的に取り組んでいらっしゃる堀内勁(ほりうち たけし)先生をお招きして、アットホームなおはなし会を開催しました。
この日は朝から雨でしたが、たくさんの親子が来てくださり『ふれ愛』について改めて考えるきっかけになったでしょうか?おはなし会で堀内先生がおはなし下さったことなど、レポートいたします!
2017年度第9回みらいママ講座
堀内勁先生の「ふれ愛が育くむ生き抜く力」
堀内勁(ほりうち たけし)先生
堀内勁先生は、聖マリアンナ医科大学名誉教授 小児科医であり、現在は、聖マリアンナ医科大学小児科学教室名誉教授としてご活躍中です。専門は、新生児集中治療、新生児神経学、乳幼児の発達、周産期の母子関係など。
聖マリアンナ医大横浜市西部病院周産期センター長時に日本で初めてカンガルー・ケアに注目し、未熟児の救命率を高めるたに失われがちであった親子の絆を取り戻していくことに役立つことがわかり積極的な取り組みをされてきました。
堀内先生の講演やおはなし会などでの、母子への深くあたたかいまなざしは、心配を抱えた親達の心を解きほぐすという事で、たくさんの子育て中の母親からも支持されていらっしゃいます。
プレイルームにて
会場のプレイルームにはたくさんのママ&キッズ・ベビーが集まりました。おもちゃもたくさんあったので、お子様たちは遊びながら、ママはふれ愛について、堀内先生から学びました。
堀内先生は、この【みらいママ講座】の為に、わかりやすいスライドを多数作って来てくださったので、たくさんの写真や動画で学ぶことが出来ました。
親子のふれ愛が与える効果
一昔前、日本では「抱っこは抱き癖がつく」とか言われていましたが、今は保健センターや母子手帳でも、「すすんで抱っこしましょう~」と言われていますね。
堀内先生のスライドで衝撃のデータがありました。
某海外都市-A | 某海外都市-B | |
---|---|---|
親子のタッチ | 43% | 11% |
幼児同士の愛情 深いタッチ |
23% | 3% |
攻撃的なタッチ | 1% | 37% |
殺人事件数 | 1/10万人 | 22/10万人 |
親子のタッチが多いA都市と、親子のタッチが少ないB都市を比較すると、殺人事件数にも影響が出るという結果に。
- タッチの減少とともに子ども達の攻撃行動が増加
- タッチの不足は身長の伸びを停止させる
- タッチの不足は子どもの認識・精神発達がおくれる
- 成人後の暴力行為の発現につながる
- タッチが少ない国の殺人事件は、ふれ愛の多い国の20倍以上
親と幼児のふれあいが、結果的に成人後にも影響するのですね。
赤ちゃんにとって外の世界とは?
なぜ、乳幼児期のふれ愛が必要か、それは、胎内にいた赤ちゃんが、胎外への世界に飛び出すところの心境を理解すると、必然的になぜ「ふれ愛」が重要なのかわかりました。
それは、お腹の中にいる赤ちゃんは、ママの羊水の中で包みこまれ守られているという原初的体験があります。
しかし、胎外へ移行するということは、今まで24時間包み込まれていた安心感から放り出され、全て予測不能な世界へ行く事を経験します。つまり、赤ちゃんにとって、外の世界は、新しい体験がたくさんで予測できない事の連続!!不安に満ちているのです。
だからこそ、一番そばにいるママからもらう安心感こそ、不安で仕方ない赤ちゃんを安心させる一番の方法なのですね。
バースカンガルーケアで身体は離れるがココロは結びつく
出産後すぐに行われるカンガルーケアにはママにとっても、良い効果があるそうです。
ママは産声から、赤ちゃんの存在をリアルに認識し、自分の一部ではなく、1人の人間だと認識します。赤ちゃんをお腹に乗せると、赤ちゃんの重みと肌触りを感じ、母性のかけらが結晶化されます。そして、赤ちゃんのぬくもりと生きている感覚に、圧倒的な達成感を感じ、気づかなかった虚脱感をも埋める効果があります。
ママにとっても赤ちゃんとのふれ愛、特に生まれたばかりの赤ちゃんのぬくもりを感じることは、ココロも結び付けられるのですね。
動画で検証!ママの無表情が与える影響!
堀内先生が用意してくださったたくさんのスライドの中で、印象的なものがあったのでご紹介します。
それは、「ママの無表情が赤ちゃんに与える影響」
ニコニコ笑う赤ちゃんと、ニコニコしながらあやすママ。赤ちゃんは、楽しそうな声を上げて、キャッキャと笑っています。ママは優しいトーンで話しかけながら楽しそうにお話しています。
ここで、突然「ママが無表情になります」
最初は変わらずニコニコしている赤ちゃん、今までどおり、楽しい声を出したり、手を出したり。ここで、ママが反応しない事に気づきます。あれ?ママ?どうしたの?さっきみたいに、手を差し出しても反応しない。。。
最後には赤ちゃんは泣き出してしまいました。赤ちゃんは色んなものを読み取っているのです。
悲しみ・寂しさ・絶望・不信・喪失感・見捨てられる不安・怒り
ママが笑顔になると、しばらくして赤ちゃんにも笑顔が戻りました。外の世界を必死で知ろうとしている赤ちゃん、色んな事からいろんなことを考え、理解しようとしています。
だからこそ、赤ちゃんにはなるべく不安は与えず、外の世界は楽しいんだよと教えてあげたいですね。
たんぽぽの花と蘭の花
とはいえ、普通に育てているけど、あれ?うちの子って育てにくい?育てやすい?
こどもの扱いやすさも、それぞれの個性、生まれながらに違います。この様子を「たんぽぽの花と蘭の花」と考えると、とてもスッキリしました。
たんぽぽのように、扱いやすい子はすくすくと育つ。
蘭のように扱いにくい子も、しっかり手をかけてあげることで、立派でキレイな花を咲かす。
今は子どもが何をしても大変!って思っているママもいるかも知れません。でも、しっかりと向き合って行くことは、将来的にきっと、蘭のように素晴らしい花を咲かすと思うと、ワクワクしませんか?!
会場からの質問タイム
今回は事前に参加者のみなさまにコメントをいただいていたので、堀内先生にはそれに添ったお話をしていただきました。
お話を聞いたあと、会場からの質問タイムもあり、数名のママが質問をくださりそれを共有しました。
堀内先生からのふれ愛メッセージ
- いつでもかえっておいでというメッセージ
- 自分が愛され認められ、守られている実感
- 安心、信頼、喜びが育つ
- 一体感と安らぎ、リラックスタイム
- お互いに肌のぬくもりやにおい、柔らかさを肌で感じあう
- 親子が身を寄せ合うという素朴で確かなふれあい
ふれ愛は愛情と支持と信頼の象徴
人と人とが、お互い与えあう「ふれ愛」の効果はすごいですね!
育児にも日常生活や社会の人間関係にも取り入れて行けたら、みんながハッピーに居られる社会になりそうですね♪
ニコニコ温かい、ホッとする安心感に包まれている堀内勁先生
会場で遊んでいた子どもたちが、積み木を見せようと堀内先生にお見せしたら、笑顔で迎えてくれる。ママにも子どもたちにも、優しいまなざしでお話くださる堀内先生なのでした。
ゆったりとしたお話会、好評だったのでまた実施したいと思います。
みらいママでは、この他にも妊娠・育児・キャリア関連など様々な講座を開催しています!
次の開催レポートへ>>>【開催レポート】第10回みらいママ講座~宋美玄先生の「妊娠出産から産後のママの変化とパートナーシップのあり方」
前の開催レポートへ>>>【開催レポート】第8回みらいママ講座「ママさん僧侶と一緒にマインドフルネス」